看護師は、“元”はなく どこに行ってもずっと看護師
今につながる思考の形成
看護師を目指すことにしたのは公立高校に落ちたからです。苦笑
高校受験の際、母が看護師だったこともあり、公立は自由に選んでもいいけど私立は看護学科のある学校を受けなければならないという謎の家庭ルールがありまして・・・笑 普通科の公立高校を落ちてしまったことで必然的に私立看護科の5 年コースに進学することになりました。(私の住んでいた地域は、まず私立高校を滑り止めとして受験して、その後公立高校を受けるというステップが基本的な流れでした)
強い憧れがあったわけではなかったので、座学は難しいし、実習も思っていたのとは違う感じで大変だなぁとは思いましたが、看護師を資格として捉えることで乗り切りました。実習で患者指導がとても興味深く、臨床よりも伝えたり教えたりする保健師の仕事に興味を持つようになったのですが、またも試験に落ちてしまって・・・、仕方なく当時200 床ほどの病院に就職しました。
ただこれが正解でした。笑
配属は消化器内科を中心とした急性期と慢性期混合病棟で、主に糖尿病の患者さんを担当していました。オーナーがカンボジアにも病院や小学校を建てるような方で教育に熱心だったこともあり、人材教育に非常に力を入れている病院でした。入職してから一年間の知識教育や研修、レクリエーションが全て決められているような環境でした。師⾧さんは20 代で比較的若い方でしたが、とても精力的で。私も教育志向が強かったので看護師の実践というだけでなく、それ以外にもとても多くのことを学びました。
公私の変化
この病院には2 年ほど在籍しました。その後、親の意向もあって地元の病院に移りましたがここがきつくて・・・3 年ほどいましたが臨床現場は懲り懲りという気持ちになりました。それから当時お付き合いしていた方と結婚の話が出てきたので、比較的穏やかなクリニックで働くようになり、新聞広告で見つけた大学病院の医局院内CRC となり、欠員をきっかけに医局の教授秘書になりました。この頃から職場で必要な資格を定期的に取得するようになりましたね。その後、漢方のクリニックの立ち上げで看護師と事務を兼務したり(保険請求もしていました 笑)、透析クリニックで院⾧秘書をしたり、看護学校の先生をやらせていただいたり・・・。結婚や出産など、プライベートのライフステージが変化していく中で、様々な事を経験させていただきました。
ナースエデュケーター・人材開発という仕事
今の会社へはNE として入社しました。当時、まだ世の中には浸透していない考え方や取り組みだったのですが、本社に面接に来た時に、市場の課題やNE が目指すところのお話を聞かせていただき、「私でも企業看護師として役に立つことがあるのかもしれない」と非常に高いモチベーションになったことを覚えています。その頃はリモートという働き方がなかったので、まだ子供が小さい中、東京で約2 週間強の研修を受けることが最大の障壁でしたが、家族の支えで乗り越えることができました。
最初は催奇形性の可能性がある薬を適切に使えるように看護師のみに教育していましたが、今はそこに医師と薬剤師も加えて情報伝達・教育を行っています。それに伴ってNE の仲間も増えていきました。
今は、看護師が持つメディカルライセンスや特有の能力にニーズが高まっていく中で、未経験で入ってきた方でも早期に戦力化ができるように教育モデルを作成しましたし、日々最新のもので使えるものを整えて行きたいと考えています。私の所属する人財開発部という部門では、「担当施設にて医療従事者へ教育する環境」から「社内の方々への対応やクライアント(製薬会社)の研修担当」と役割が大きく変わりました。【自学自習が出来る人財】を育成する事が目標ですが、私自身学ぶ事が楽しいタイプですので、周囲の皆さんと一緒に学びながら本社での業務を行っています。伝える・教える、気付きを得ていただく、ここにも教育の難しさと楽しさがあり日々充実しています。
未来を見ながら今を生きる
この環境で仕事をしていると、よく「元看護師」という言葉を耳にします。臨床現場を離れた看護師をそう呼んでいるのですが、果たして“元”なのか・・・私はそうは思いません。なんだかしっくりこないんですよね。笑 医師はMD(メディカルドクター)になっても「元医師」とは言わないですよね。保健師もCRA もCRC もNE も、形は違えどきっと現役の看護師なんだと思います。
私の中学生の息子は、将来看護師の資格を取得するそうです。(家庭ルールではありません 笑)私の活動を見ているということもあると思いますが、その資格を臨床の看護師として活用するのか、企業看護師としてメディカルライセンスをビジネスに活用していくのかはイメージできていないながらも、資格を活用して何らかの形で社会に貢献していきたいと考えているようです。
そんな未来のため、今後も私は少しだけ先を見ながらNE をはじめ、様々なバックグランドを持つ看護師さんが、初めて経験する企業看護師を安心して遂行できるよう、環境の整備を進めていきたいと思います。というのも、看護師は患者さんの安全安心を第一目標としていますが、私は企業看護師の安全と笑顔を守れるようなモデルを作り高めていきたいですし、それが使命だと感じているからです。
NE(ナースエデュケーター)の仕事とは?
NEとは、Nurse Educatorの略称で、医療機関を訪問し医療従事者(病棟看護師など)に対して疾患啓発や管理方法の指導、投薬・服薬の指導や副作用マネジメントなど、患者に対するケアの品質を向上するための教育を行っています。
製品の適正使用を推進するコミュニケーションを通じて、医療機関従事者との信頼関係を深めるとともにより良い治療を実現し治療に対する患者の満足度向上を目指します。