看護師から転職。実践で学び、現場で楽しく働く日々
そして看護師になる
私は現在、生まれ育った山陰地方に戻ってきて、アシスタントマネージャーとしてメンバーのマネジメントも行いながら現場も兼務するCRC として活動しています。
子供のころは、学校の保健の先生になりたかったんです。そのため、養護教諭の資格を取ることを想定して大学を選んだりしていたのですが勉強不足で落ちてしまって・・・。結果、滑り止めで受けていた関西の看護学校に進学しました。
入学当初は、卒業後に保健師の学校にも通って合わせ技で養護教諭の資格を取得しようとも考えてはいたのですが、学業に加え、寮生活や関西での暮らしを楽しむ中で、保健の先生になりたいという思いは徐々に薄れていってしまいました。笑
当時、私は座学が苦手だったこともあり、自慢できるほど志高く看護師を目指していた訳ではなかったのですが、実習で担当した肝臓がんの患者さんが、3 週間目ほど経ったときに亡くなられるという場面に直面したことで、自分の中で何かが大きく変わりました。そこからの学校生活はこれまでとは全く異なる感じで過ごしていたと思います。
実践に学ぶ
就職はそのまま付属の病院に入り、整形外科に配属になりました。その環境がとても良くて。先輩や師⾧、医師、そして何より患者さんに育てていただきましたね。学校で座学をサボってきてしまった私は、実践の中でより多くのことを学ばせていただいたと思います。その後、その病院には6 年ほどお世話になりました。
北の国で
仕事を辞めて一息つくと、ふと北海道に住んでみたくなり思い立って移住をしてしまいました。その頃ちょうど“北の国から”が流行っていたので何となく惹かれてしまったのかもしれません。笑
看護師は続けようと思っていたので、整形外科の経験も活かせるような病院を探したところ、ちょうど整形外科単科の病院を見つけたので早速応募してみました。面接に行ってみると、面接官である師⾧が時期は重なっていないものの私と同じ病院に勤務していたことが分かり、意気投合して!?採用していただきました。
病院は、単科とはいえ地域に密着していたので手術も多くてそれなりに忙しかったですが、ここでも人に恵まれて頑張ることができました。あと、北海道には自然もたくさんあったのでスキーやゴルフ、キャンプなんかの遊びも覚えて夜型から昼型に変わったのもこの時期です。笑
キャリアの転機
30 代半ばを迎えた頃、10 歳年上の主任がヒステリックに当たり散らしている姿を見て、自身の10 年後を想像するとそろそろキャリアチェンジのタイミングかもしれないと考えるようになりました。最初に勤務していた病院では治験も行われていてCRC の仕事も何となくは理解していたので、思い切って転職情報誌で見つけた小さなSMO でキャリアチェンジすることにしました。
キャリアチェンジをしてみて一番の感想は、“これまで見ることができなかった世界を見ることができた”という喜びでした。
病院という組織はとても閉ざされた環境だったので全てが新しい発見でした。業務で言えば、例えば名刺交換もしたこと無いし、FAX にはカバーレターが必要なことも知らない。CRC になってからは医師や患者さんへの言葉遣いも大きく変わりましたね。
少し困ったのは、看護師に「看護師の資格を持っているのになんで採血や血圧測定ができないの?」と問われることでした。CRC は医療行為ができないので仕方がないのですが、相手も知らずに言っていることですし気持ちもわかるので申し訳ない気持ちでいっぱいでした。業務の流れを掴んでからは、スタートアップのミーティングの中で必ず伝えるようにしましたね。その後、この会社の人事異動で東京に転勤することになりました。
現場で楽しく
東京に移ってから幾つかのSMO を経験した後、今の会社にはCRC をサポートする看護スペシャリストとして入社しました。対象の試験が終わってからは、改めてCRC となり活動を続けていたのですが、数年経った頃、50 歳を迎えるタイミングで親元に移住したいと思い、故郷の山陰地方に転勤させていただいて今に至ります。
CRC の仕事は、色んな病院の色んな診療科の先生とも話せますし、プロジェクトごとにたくさんの新しいことを学ぶことができます。患者さんと継続的にコミュニケーションできることも楽しみの一つです。一方で、自分の仕事は自分で組み立てることになりますし、各診療科の先生と話す際には専門性も求められるので主体性が大切です。大変なことありますが、あんなに座学が嫌いだった私が勉強を継続できているのは、仕事にやりがいを感じ満足できているからだと思います。
実は数年前、一時期会社を辞めてバックパッカーの宿をやろうかと考えていたんです。趣味でバックパッカーをしていた頃、世界各地のたくさんの方々に助けていただいたので、今度は私が受入側になって恩を返そうと思ったんですね。ただ、それはやらなくて良かったです。もしその時に会社を辞めていたら今頃大変なことになっていたと思います。笑
今後もいろんな意味で環境変化はあると思いますが、行けることころまではCRC として現場に居続けたいと思います。
CRC(治験コーディネーター)の仕事とは?
CRCとは、Clinical Research Coordinatorの略称で、「治験コーディネーター」と呼ばれています。医療機関の中で治験責任医師の指導・監督のもと、専門的立場から治験責任(分担)医師の業務に協力する仕事です。被験者と直接接触し、治験内容の説明や不安、心的負担を軽減するための相談相手としてケアやサポートも行います。